外国から人が来ると日本は農道にすら舗装がされていて驚かれる、というのはひょっとすると今は昔かもしれません。
農道にもアスファルトが敷かれているのは予算の消化がほとんどで、あとはまあ破損による水源の流出だの汚染だのとかかなとは思いますが、それをアスファルトが敷いてある”だけ”と感じるのも自分だけなのでしょうか(実際、あちこちひび割れ・段差多数の上に、先述の農道などは農機具が走行した後の乾いた土が張り付いていたりとか良くあるわけで)。
で。
フツーに考えれば、道路舗装は綺麗、というか平滑で合った方がいい”ハズ”です。自転車で走っていても、平滑な路面の方が少なくとも振動による不快感はゼロに近いです。もっとも、あまりにも平滑な路面(動画の中にあるような塗装路面など)であると、水分が載った時に摩擦力の低下による転倒の危険があるわけですが(水濡れについては平滑かどうかは関係ない場合が多いですけどね。四条大橋とか良く滑りますし)、それは置いておいて。
振動がないということは、路面に対する伝達効率が上がるわけで、さらにサスペンションなどによる運動エネルギーの熱変換も減ります。つまり、簡単に言えばスピードが出しやすくなります。じゃあいいことじゃん、と言えるかどうかというと、多車線道路をオーバースピードで走ったりとか当然のようにあるわけです。おそらく9割9分のドライバーはなんとも思わないでしょうし、もっと制限速度を上げろと言っているドライバーも割といるようです。
ところで、速度が上がれば移動体の持つエネルギーも上がります。わからないという人は、自分の利き手で逆の手を軽く叩いた後、もう一度思い切り叩いてみればいいかと思います。
どちらもアンコントローラブルになる要素ではあるのですが、重量については「過積載はダメ」というのが割と言われていることではあります。問題は2つで、一つは制動距離が伸びること(下手するとブレーキ限界を超える可能性もありますね)、もう一つは道路舗装にダメージを与えることです。まあこの辺普通に考えればわかるはずなんですが、多少でも凹凸があれば、移動体は直線ではなくて波形を描いて動きます。波形を描いているということは、いくらか上下動があるわけです。
はるか昔は、炎天下でアスファルトが溶けたそうです。横方向のひび割れを見ていると、もしかすると鉄道のレールのような膨張・収縮があるのかもしれないなとは思いますが、現在では一応真夏でも固体であることがほとんどだと思います。が、恐らく組成的にはそれほど変わっていないはずですし、どうあっても耐久には限界があるでしょうから、確実に破壊される重量と速度のラインというのはあるはずです。まあなんでもそうですが、そうでなければ補修や除去はできないんですけどね。
というわけで、たとえ道路舗装が綺麗であっても、使う側がある程度上限を念頭に入れなければ平滑であることの意義はない、ということになるかと思います。
対して。もしも道路舗装がガッタガタのグッダグダだったなら(主観ではガッタガタのグッダグダですが)。これ、とてつもなく不快なんですけど、経済的には非常に意義があるんですよね。
まず、移動体に与えるダメージが増えますよね。歩行者でもコケたりするわけで、単純にその場での怪我や将来的な膝関節の故障による医療費(保険控除があったとしてもゼロよりは税金が取れる)とか、靴が早く削れるとか、いろいろありますね。
車両に対しては、タイヤが早く減るとか、サスペンションの痛みが早くなるとか、振動でフレームが、とか破損の可能性が上がって買い換えの必要性が増えます。自動車産業がほぼ基幹となっているこの国では、割と重要な要素になり得ます。性能の良くて価格の高いサスが売れればさらに税金やGDPがっていうのもありますね。
あとは、軽車両や二輪車を排除する目的とか? 走りにくくなればそれだけ四輪が売れる可能性が高くなるわけですし。歩行者も歩きたくなくなれば、他の金のかかる移動手段に移行するでしょうし。
エネルギー効率の低下や車両数の増加などで全体的に平均速度が落ちれば、それだけ時間単位の移動距離も減るので、仕事のための要員も増えて人件費も増えてこれもGDP数値が上がります。燃費も落ちるのでガソリン系で入る税金も増えますね。
微妙なところでは、補修目的で予算がぶんどりやすいとか細々としたこともあると思います。
余談というか余計な談ですが、仕事が雑でも許されるというのがありますかね。許されないですけどね。人件費や作業費をカットできるので企業としてはニッコリだという邪推はできます。
通行者が苛つけば諸々事件が起きて警察も点数稼ぎできてうはうは、とかまで行くと邪推が過ぎそうですが。
このように、一見理想的であることが実は誰か(特に自分よりヒエラルキーが高い誰か)にとって都合が悪かったりすることもあるわけです(そこまで考えて生きているかは知りませんけど)。
もし道路舗装がもっと綺麗であることに利があるのであれば道路舗装はもっと綺麗でしょうし、もっと頻繁に整備が行われているはずです。これを時間や人員の問題であるのだとするならば、それは解消できないことなのですかと問い返せばいいだけであり、現状解消できない問題はほとんど無いのではないかと思います。つまり、道路舗装がガッタガタのグッダグダであることには意味があるのです。個人的には嫌ですが。
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